看護師・心理師が発達障害児が抱える脳機能の特徴を紹介|大脳新皮質とは?

心理

「発達障害」という言葉に関わる人のなかには

  • 今ひとつ「発達」の障害を理解していない
  • 具体的にどこを障害されているのか?
  • 症状の原因はなんなのか

といった疑問をお持ちの方も多いはず^^;

発達凸凹の子どもに関わる保護者でも児童福祉業界の職員でも詳しくは知らないこともあります。
正直なところ知らなくても困ることはないですが、発達凸凹を理解すれば”理解できない行動”にも対応に余裕が出てくることもありますからね^^

急性期総合病院の看護師として脳神経科で8年間勤めた僕が発達凸凹の脳機能を勉強してきたので、医療系の視点からも脳の仕組みを紹介していきますので、参考にしてください!

発達凸凹を脳から考える

発達凸凹を脳から考えると難しく感じるかもしれませんが、できるだけ分かりやすく説明していきますね^^

現在の放課後等デイサービスで働く前は総合病院で認知症のご老人や高次脳機能障害の人へ看護を提供していて、認知症も高次脳機能障害も理解を超えた行動をされていたので、正直なところ看護師時代は怒りや戸惑いを感じることがありました><
看護師時代には対象の理解として、認知症や高次脳機能障害の勉強から対象の理解を深めていきました。

今回も同じように発達凸凹を知るために、自閉スペクトラム症や注意欠陥多動症などの勉強を進めても症状の説明のみで理解はできませんでした><
そんな時に発達障害の脳機能について簡単に説明を受けることがありました!

看護師時代の脳神経とは少し違った「発達」に焦点を当てた内容だったので、発達凸凹の子どもたちの理解にはすごく役に立ちました!
プラスで勉強してきたことも併せて紹介していきますね^^

大脳辺縁系・脳幹(下位脳)

早速難しいワードが出てきて申し訳ないんですが、戻るには少し早いです><
説明していきますから頑張って着いてきてください!

まずはじめに紹介するのは脳の大脳辺縁系脳幹という部位になります。
詳しい説明は省きますが、「発達」について焦点を当てて話をしていきますね^^

脳幹という部位は生命維持に直結していて呼吸などを司っている重要なところで、発達としては産まれてきてから生きていくために必要な原始反射を司る部位で、基本的には無意識で働いています。

大脳辺縁系という部位は快・不快からはじまる感情などを司るところで、怒りや欲求などの動物的本能が大脳辺縁系から来る信号とされています。
人間以外でも脳幹や大脳辺縁系を持っている生き物は多いですし、”動物的本能”と聞くと野生動物のようなイメージで、食欲や暴力性といったことは大脳辺縁系が関係しています。

しかし、こういった原始反射や動物的本能が成人の人間には現れないでしょうか?
それは大脳新皮質という部位が人間では発達していることが関係しています!

大脳新皮質(上位脳)

生き物の中で人間が発達しているのが大脳新皮質で、特に人間の額のところにある前頭葉が発達していて、他の生き物と違う言語社会性を作れるのは、大脳新皮質が関係しているんです^^

大脳新皮質は思考や意欲であったり、行動をまとめたりと役割としてはすごく大きいので、詳しく説明するにはかなりの長さになってしまいますね><
それでも、簡単に説明すると大脳辺縁系や脳幹の機能(下位脳)は大脳新皮質の機能(上位脳)がコントロールしているので、原始反射は不要なので消失していきますし、動物的本能は抑制されているんです!

そこで今回のテーマ「発達凸凹の脳機能」についての話になってきて、脳幹→大脳辺縁系→大脳新皮質という流れで脳機能が発達していくのですが、この発達の流れが障害されるので「発達障害」と呼ばれていたんですね><
現在は「神経発達症」と呼称されています!

発達の流れが障害されるのは、大脳新皮質が上手く大脳辺縁系・脳幹をコントロールできていないとされていて、大脳新皮質の発達が不十分なことが原因とされています。
そのことによって抱える問題を引き続き説明していきますね^^

発達凸凹が抱える脳の問題

発達凸凹と言うだけあって、できないこともあれば、できることもあるので、個人差は激しいので一概に抱える問題を指摘するのは難しいのですが、脳機能から考えられる一般的な問題点を紹介していきたいと思います!

日常的に発達凸凹を持つ子どもに関わっている人の中には「何に困っているの?!」や「何が分からないの?!」といった驚きにも似た疑問を感じることが多いのではないでしょうか?
脳機能から理解を深めることで、発達凸凹の行動を理解すると見えてくることもあると思うので、今回は3点に絞って説明していきますね^^

全て説明すると膨大な数になりますし、行動を脳機能から絶対に説明できるとも限りませんからね><

残存する原始反射

先ほども説明していましたが、大脳新皮質の発達が不十分であると生活上にいろいろな問題が発生してきます。

ひとつ目の問題は「じっと座っていられない」です。
子どもの中には幼児期は良く動く子どもだったのが、小学校に上がって授業を受けていられない…なんて問題があると思います。
注意」の問題もありますが、今回は「原始反射」という問題を話していきますね^^

諸説ありますが、原因として大脳新皮質が脳幹が司る原始反射をコントロール(統合)できず、原始反射が残ってしまうようです><
詳しい原始反射の種類を紹介するのは省略しますが、原始反射が残ってしまうことで、ADHDのような衝動性があったり多動があったりしますが、詳しい内容は参考にさせて頂いた「ここからだ」をご覧ください。
原始反射が残っていても”反射”なので無意識になってしまうために意識の問題では解決できないんです><

そういった発達凸凹を治そうとするには、感覚統合によって消失していくとされていますが、年齢によって消失することもあるので、原始反射が残っているからと言って何かをしなければならないという訳ではなく、大切なことがまだまだあると思っています^^

じっと座って授業を受けるには環境を整えてあげることも重要で、感覚統合だけに時間を使うよりも環境的刺激も重要になります!
過去に関わった子どもの中にも感覚統合だけに時間を使って対人関係等はノンストレスで育った子どもがいましたが、他害傾向にあったり認知のズレが大きくて社会で生きていくには難しい状態の子どもが実際に居ましたToT

環境を整えるには子どもに合った道具を使用を検討してみてください^^
足底からの刺激によって落ち着いて座ることができます。

体幹を支える力が弱い子どもにはバランスボールが有効とされてますね^^

“反射“だからこそ𠮟るよりも環境から整えることで子どもとの関係性も子どもの非認知能力を高めることができるんじゃないでしょうか?^^

人間だけが使う言葉

生き物の中で人間だけが「言葉」を使って生きています。
英語だったり日本語だったり色々な言葉がありますが、発達凸凹のある子どもたちには言葉を扱うのは難しいことです><

ふたつ目の問題は「上手く言語を扱えない」です。
定型発達の僕たちですら数年かけて勉強する内容ですから、発達凸凹の子どもたちが難しいのは当然ですよね^^;

発達凸凹の子どもが言語を扱うのが、定型発達の人よりも何故難しいのかを脳機能から説明していきます^^
ココでは脳機能の「認知」「記憶」という能力について焦点を当てていきます!
「学力の問題じゃないの?」って思うかもしれませんが、根本的には別の原因がありますので参考にしてください!

「認知」というのは物の捉え方になりますが、発達凸凹があると上手く文章を読めないんですね><
「きょうははれていてイイてんきですね。」という文章は簡単に読むことができますが、
「ぎゃむめつぽヌいかみゅジンをたれか。」という羅列の文章をはじめて読むには詰まってしまいませんか?
発達凸凹がある子どもの場合には後者の文章のように上手く読めないことがあるんですToT
どこで文章を区切ったらいいのかどういった単語なのかを僕たち定型発達は無意識に認知しているんですが、ソコが上手くできないので文章を読むのに苦労しているんですね…

そして、時間を使ってようやく読めた文章を「記憶」して、黒板からノートへ板書しますが、今の僕たちでも先程の「ぎゃむめつぽヌいかみゅジンをたれか」という文章は記憶できている人は少ないですよね^^;
発達凸凹の子どもたちにはまとまりない文章に見えているのに、記憶してから板書しないといけない…
つまり、そういった認知から記憶するのはかなり難しいんです。
「きょうははれていてイイてんきですね。」という文章は意味を理解できるので、記憶に紐づけることができますが、意味不明な文章では難しいのは当然ですToT

なので、発達凸凹の子どもたちは言語に対して苦手意識が強く、小学校2年生くらいで板書することで問題点が明るみになったりすることもありますよね。
見て書くこともそうですが、聞いて話をするのも同じですから発達凸凹の子どもたちは日々勉強を頑張っています。
少しずつ言葉をまとめる作業をしていますから、ゆっくりと応援していきましょう^^

問題に対する思考

なんといってもココが一番難しい><
問題を自分で解決する能力は子どもには持ってほしい能力のひとつになりますが、発達凸凹の子どもたちには脳機能から難しさを感じています。
そのためにパニックを起こしたり、脳の処理としてはかなり高い機能になるんです^^;

正直なところ定型発達の子どもでも難しいところではありますが、大人になっても難しい人は多いですし、指示待ち人間にはそういった人は多いです><
ただ、大人の場合には「責任をとりたくない。」って考えることも多いですが^^;

子どもの場合には「どうしたらいいんだろう?」という理由で問題解決ができないんですね。
要は「方法を知らないからできない」ってことですし、”方法”さえ教えれば子どもは少しずつできることを増やしていきますよね^^
その上、他のことにも応用して自分の問題解決能力を鍛えています!

しかし、発達凸凹の子どもには問題解決能力を鍛えるのが難しいんですね><
脳機能として言うならば「中枢性統合」「実行機能」「想像力」が弱いとされています。
難しい言葉を並べていきましたが、分かりやすく説明していきますね!

まず、「中枢性統合」は物事をまとめる力を指していますが、まとめる力が弱い場合(ASD的)もあれば散らかっている場合(ADHD的)もあるので一概に言えないですが、発達凸凹の子どもには弱い部分ですし、個人差が大きいです。
例えば、コップの中身が透明ならば水、茶色ならばお茶で両方とも”液体”としていますが、極端に言えば発達凸凹の子どもには”水は水”、”お茶はお茶”としてまとめられないとされています><
「コレはコレだしアレはアレ(両方とも言ってることは一緒)」といった感じになります。

次の「実行機能」は見通しを立てて行動するために調整して処理する力を指しますが、聞くだけで難しいことだとは思いますよね^^;
例えば、水を溢した際に「綺麗にしよう。」と思いますが、そのために”どのように行動するべきなのか”ということが発達凸凹の子どもには分からないんですね…
「雑巾を取ってきて床を拭く」だけですが、どこから始めたらいいのかも何でしたらいいのかも分からず、処理する力が弱いとされています><

最後の「想像力」は説明はいらないでしょうが、起こっていないことを考える力とココではさせてもらいますね><
例えば、上記の続きで牛乳を溢した場合には「雑巾を取ってきて拭く」ことはしますが、牛乳であれば「水拭きしないと臭くなる」と予測を立てますが、そういったことを考えることは苦手とされます。
物事の先を考えて行動するので応用力とも言えるかもしれませんね^^;

3つとも密接に関係していて、3つとも個人差があるために一概には言えませんが、子どもの時から問題は自分で抱えて考えることが必要だと思います。
上記の例え話ですると、「中枢性統合」が弱いと水もお茶も牛乳の場合も経験したり、「実行機能」が弱いと液体の拭き方を経験すれば良いですし、「想像力」が弱いと牛乳の拭き方は経験すれば問題は解決することができますよね^^
発達凸凹の子どもが何を解決として繋げるのかは分からないために、支援者は問題へ解決するのではなく、どうしたら子どもが問題を解決することができるのか見守ることですね。
たくさんの経験値を利用して将来生きていきますから、経験を支援することが重要ですね^^

さいごに

今の時代はAIがあるので自分の変わりに考えてくれたりはしますから、既存の情報に関してはまとめてくれる良い時代になりましたね^^
発達凸凹の子どもにはChatAIなどの使い方を説明して、補助としてAIを使っていくことも、現代風の生き方なのかもしれません!

今回は脳機能から発達凸凹の子どもを一緒に考えてみました!
行動レベルで漠然と発達凸凹を理解することから、脳機能レベルで理解することで更に支援の幅ができてくるのではないでしょうか?><
「中枢性統合」や「実行機能」が弱いために問題解決能力が獲得しにくいこともありますが、同じ機能から考えると同じ物やルーティーンで安心できるのはココからきていることも考えられますし、常同行動も脳機能から考えると幅広く見えてきます。

行動原理を脳機能から理解・推論することで、行動を後追いで追いかけ続ける必要がなくなるかもしれませんので、何かの参考になれば幸いです^^
何かあればコメントをお待ちしております!

この記事は適宜更新していければと思っています。

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